JL Zwane訪問

 今日は会議はなし。さまざまなオプションツアーへの参加の日。
 わたしは、ケープタウンからすこし東、空港を越えたあたりにあるGugulethuという町とそこにあるJL Zwaneの長老教会を訪問する。
 まず、Gugulethの町を訪問。そして、そこに数多くある掘っ建て小屋(shack)の集落を訪問。
 

 
様々ながれきを集めてきてつくられている掘っ建て小屋にかなりの割合の黒人の人たちが住んでいる。そのうちの多くは、その一生をこの掘っ建て小屋で過ごす。いくつかの掘っ建て小屋で一家族が住む。中に入れてもらい、それを見る。貧しい彼らは、自家製のビールなどを造り、それを売り、何とか生計を立てている。
 その一方で、政府はなんとか家を建て、人々が生活できるようにプロジェクトを進めている。特に、初代の民主的に選ばれた大統領であるマンデラ氏はこのことに力を入れた。建てかけの家。
 

 
 続いて訪れたのは、「ホステル」と呼ばれる共同住宅。かつては出稼ぎのようにして来る男たちが住んでいたが、今は貧しい人たちがそこにも住んでいる。そこには共同の広間と共同のトイレがある。
 

 
それとともに、六畳程度の広さの場所にベッドが三つおかれており、それぞれのベッドを月々50ランド(700円程度)で借りている。しかし、一つのベッドを借りるからと言って、そこに一人が住んでいるのではない。一つのベッドに一家族が住む。そのために、2段ベッドにしたりしている。また、食材はベッドの下に置き(食材はプラスチック製のたらいの中に入れる)、一つの棚にその他の荷物を置く。これが一つのベッド。
 

 
一つの部屋には、三つの家族(二人、四人、五人)が住んでおり、夜には六畳間に11人、それも赤の他人の三家族が住む。彼らの多くは仕事がない。黒人たちのあいだでの失業率は50パーセントであると聞いた。まさに貧困の極み。政府は、なんとかそのような人々が最低でも「一部屋に一家族」住むことができるようにと家を建てるプロジェクトを行っている。
 そのあと、JL Zwaneセンターを訪れる。ここは教会であり、地域のコミュニティーセンターともなっている。まわりの比べて、比較的新しく、きれいな建物。
 

 
そこで、南アフリカの現状を聞く。アパルトヘイトにおいては、人種差別が行われ、そこで暴力が日常であった。しかし、民主化が行われ、マンデラ氏が大統領となり、真理と和解委員会を通して、悪夢の記憶のいやしは始まった。しかし、そのあとに待ち構えていたのが、貧困の問題の解決。アパルトヘイトを通して、人種差別のみならず、持つ者と持たない者のあいだの格差が広がり、持たない者は貧困のどん底に陥っている。そして、民主化されたあとも、貧困の問題は解決していない。60パーセント近くの人が貧困のレベルにある。さらに、貧困と共にある問題はHIV/AIDSの問題。この教会は、この問題を真っ正面から取り組み、それを防ぐ働きにも取り組んでいるが、なかなか他の教会の理解を得ることができないそうだ。どうも、「性」の問題が関わると教会は動きが鈍くなる。HIV/AIDSは単にいのちを奪いうる病だけではなく、その人を支えるはずの家族さえも奪い去ってしまうために、問題が深い。このセンターはこれらの問題と共に、ホスピスケアもしている。これらの多角的な働きを通して、貧困なこの地域の人々に仕えている。
 説明のあと、食事を頂き、そして、ケープタウンに戻る。南アフリカの現実を見た。